労働関係の主な法改正【2021年版】
2021年に予定されている法改正について解説します。
Ⅰ.同一労働同一賃金
- 2021年4月1日から中小企業でも施行される同一労働同一賃金です。まだ手を付けられていない会社もあるのではないでしょうか?
- 正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の待遇に違いがある場合、待遇の違いが働き方や役割の違いに応じたものであると説明ができるかどうかを確認してください。
- 単に「パートだから」「将来の役割期待が異なるため」という主観的・抽象的理由では、待遇の違いについての説明にはなりません。
- 正社員と、①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更範囲(転勤、人事異動、昇進などの有無や範囲)、③その他の事情の違いに応じた範囲内で、待遇を決定する必要があります。正社員と①②ともに同じ場合、すべての待遇について、差別的に取り扱うことが禁止されます。
- 住宅手当・家族手当・退職手当は、各社で目的や性質が異なるとして考え方は示されておりません。
待遇差OK | 基本給 |
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賞与 |
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待遇差NG | 手当 |
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福利厚生 |
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- 上記以外の待遇も、不合理な待遇差の解消が求められます。このため、労使で、それぞれの事情に応じて、十分な話し合いをしていくことが望まれます。
Ⅱ.子の看護休暇、介護休暇の時間単位取得
- 2021年1月1日から、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することができるようになりました。
- 就業規則や育児介護休業規程の変更が必要です。
- 時間単位で利⽤できる有給の⼦の看護休暇制度や介護休暇制度を導⼊し、休暇を取得した労働者が⽣じたなど要件を満たした事業主には、両⽴⽀援等助成⾦が⽀給されます。
Ⅲ.36協定新様式
- 2021年4月1日から、36協定届の様式が新しくなります。
- 労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要となります(記名は必要)。
- 36協定と36協定届を兼ねる場合は労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法(記名押印又は署名など)により36協定を締結する必要があります。
- 36協定の適正な締結に向けて、労働者代表についてのチェックボックスが新設されます。
Ⅳ.法定雇用率引き上げ
- 2021年3月1日から、法定雇用率が2.3%に引き上がります。
- 今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、従業員45.5人以上から43.5人以上に変わります。また、その事業主には、以下の義務があります。
- 毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。
- 障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。
www.mhlw.go.jp
https://www.mhlw.go.jp/content/000694645.pdf
Ⅴ.70歳までの就業機会確保(努力義務)
- 2021年4月1日から、65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務が新設されます。
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む - 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
- 事業主が自ら実施する社会貢献事業
- 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
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