【シナジス】ニュースレター

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先日より新型コロナウイルスのワクチン接種が始まっています。
人事労務面からみた新型コロナウイルスのワクチン接種への対応について、シェアさせていただきます。

従業員に対して、ワクチン接種を義務付けることはできるか?

2020年12月に施行された改正予防接種法では、接種は国民の「努力義務」とされ、接種するかしないかはあくまで本人の選択に委ねられています。

厚生労働省のホームページにおいても、「接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです。」とされ、「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう」注意喚起されています。

【参考:厚生労働省】新型コロナワクチンの接種を望まない場合、受けなくてもよいですか。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0053.html

従業員から勤務時間中のワクチン接種を希望された場合、どう対応すればいいか

雇用契約は民法第623条で「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」と定められています。

労働者には「労務提供義務」、使用者には「賃金支払義務」といった義務が双方に課されています(双務契約)。

ですので本来、「労務提供義務」がある勤務時間中に労務から離れる事は認められません
勤務時間中に労務から離れた場合には、離れた時間分の賃金が控除されます(ノーワーク・ノーペイ)。
就業規則に懲戒の規定があればペナルティが課されることになります。

従業員が欠勤した場合、労務提供のなかった時間や日数については、遅刻・早退控除や欠勤控除の処理をします。
従業員から年次有給休暇取得の申し出があれば、年次有給休暇の消化で処理することが多いと思います。

しかし、今回のワクチン接種では、「平日しか接種予約が取れない」「発熱などの副反応が出た」といった事などが考えられます。

このような状況を踏まえ、厚生労働省のQ&Aでは、職場における感染防止対策の観点から、ワクチン接種を受けやすい環境の整備における望ましい対応として、以下のことを挙げています(就業規則の変更が必要となる場合があります。)。

①休暇制度の新設
②既存の病気休暇や失効年休積立制度等の見直し
特段のペナルティなく、労働者の中抜けや出勤みなしの容認

いずれも欠勤控除等をするのではなく、賃金支払いが必要となる制度になっています。

接種日やその翌日に重い副反応が出て、出社できなくなることも考えられます。
会社の現状に合わせて、どのように取り扱うのかを、労使で話し合って決定し、周知しておく必要があります。

【参考:厚生労働省】ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-20

勤務時間中のワクチン接種に対して、賃金支払いは必要か?

賃金支払いについては、一般健康診断に対する通達が参考になります。

下に参考として通達の該当部分を載せておりますが、要約すると「一般健康診断の受診時間は、事業者が負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、事業者が支払うことが望ましい」ということです。

ですので、勤務時間中のワクチン接種に対する賃金支払いについても、会社の現状に合わせて、有給にするか、無給にするかを、労使で話し合って決定し、周知しておく必要があります。

【参考:昭和47年9月18日基発第602号】
健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払については、労働者一般に対して行われるいわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと。

【参考:厚生労働省】健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/2.html
以上、人事労務面からみた新型コロナウイルスのワクチン接種への対応について、シェアさせていただきました。

私も妻と話し合って、1回目は同じ日に、2回目は別々の日に接種することを決めました。
副反応は、1回目の接種後より、2回目の接種後の方が強いという理由からです。
翌日が休みの日に接種してもいいかもしれませんね。

秋に第5波が来る可能性があると言われています。
早く収束して、通常の生活に戻って欲しいものです。
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